II V

才能発掘プロジェクト IIV クリエーターアワード

コンテスト概要

【タイトル】

東京ウィザーズ

【テーマ】

もしも、東京がファンタジー世界になったら?
もしもファンタジー世界のニューヨークに
住むキャラを描いてみたら?
をテーマに現代世界のファンタジー化作品を
募集しました。

【募集期間】

2019年11月7日(木)~ 2020年1月30日(木)

受賞作品

小説部門

最優秀賞&部門賞
『ベツ☆バラ! ~観光庁 神霊災害特別対策室 秋葉原支部~』 節兌見一
【作品紹介】

人々の幻想が交差する街『秋葉原』。
そこでは神霊テロ組織『ヤオヨロズ』と、『観光庁神霊災害特別対策室秋葉原支部』通称『ベツバラ』が熾烈な戦いを繰り広げていた。
通常兵器が効かない神霊たちを倒すべく、『ベツバラ』に集められた特殊な経歴を持つ二人が奮闘する!

【受賞者コメント】

はじめまして、節兌見一と申します。
この度は栄えある賞に拙作を選んでいただきまして、光栄の極みです。
ベツ☆バラの世界は、「現代世界のファンタジー化」というこの賞のコンセプトを目にした瞬間ビビッと思いついたものです。
慣れ親しんでいるはずなのに、実はよく分からない街『秋葉原』……
そこに異世界や和風、メルヒェンなものまで様々なファンタジーの文脈を放り込んでみたら一体どうなってしまうのだろう?
自分でもその答えが分からないまま、ワクワク気分に突き動かされて書きました。
そんな楽しい気持ちを皆さんと少しでも共有出来たら幸いです。

【審査員コメント】
蒼山サグ
バディの取り合わせが面白いですね! さもすればテンプレになりがちな設定にいいスパイスが利いていたと思います。まだ序章といった感じで、これから先の展開が気になる作品ですが、短編としても綺麗にまとまっていたのは高評価。
『水』のオチは初出のところで看破してしまったのですが、僕が病気なだけかもしれません。他の読者の判断を仰ぎたいところです。
成田良悟
個人サークルでTRPG関連の書籍を作られているとの事で、秋葉原の街を舞台にとした世界設定や主人公達のスキル、ガジェットなどがTRPG化しやすい形で練られている作品だなと思いました。読者としてキャラクター達に感情移入するというより、自分がその世界でベツバラに就職したらどう行動するか、どういう能力が欲しいかという事を想像するのが楽しくなる作品でとても楽しく読ませて頂きました。
キャラクターをドン、と見せる形の導入的な短編だったので、TRPG的に言うならキャラクターの宿命的なものを小さなものでも良いので一つか二つ解決させると更に読み応えがある作品になるかと思うので今後が楽しみです。(『水』に関しては、無理に下ネタを挟まずとも良いかなとは思いました)
藤原祐
世界観や設定、ガジェットなども含めて細部に至るまで独創的かつ魅力的で、秋葉原という都市の中に、秋葉原に相応しいファンタジーが展開されています。今回のアワードのコンセプトに最もぴったりな作品だと感じました。キャラ立ちも過不足なく、ストーリー運びもよくできています。
ただ、個人の好みかもしれませんが、ヒロインの能力(の正体)はちょっと悪ノリが過ぎているように思います。
設定や雰囲気がぶっ飛んでいる分、主人公の能力のようにシリアス方向で締めてもよいのでは。
三雲岳斗
小説というよりもTRPGのセッションを文字起こししたような文体で、勢いのある楽しい雰囲気が伝わってきました。クセの強い作品ですが、ガチャガチャとした賑やかな感じは、ハマる人にはがっつりハマりそうです。ただ物語のスケールに対して作品のボリュームが不足していた気がします。大作の冒頭だけで終わってしまったような物足りなさが感じられたのは少々残念でした。

動画・音楽部門

最優秀賞&動画・音楽部門賞
『ワイバーン飛翔中』 Ryo Lion
【作品紹介】

「SNSちほー」に生息するモンスター「ワイバーン」の歌。舞台は恐山をイメージ。
近代に創作された架空の怪物「ワイバーン」と、十年そこらで化け物みたいに膨れ上がって異様なカタチに進化し続ける「SNS」。
この2つに共通している部分を感じ、そこから構想を練った楽曲。

【受賞者コメント】

思えば作曲をはじめてもう20年以上になります。
決して順風満帆ではなく、何をやっても上手くいかず途方に暮れた時期もありましたが「長いこと続けていれば、いいコトもあるもんだなあ」と。率直にそう思います。
このような機会を設けて下さった IIVクリエイターアワード運営様、審査員のbanvox様、そして歌ってくれた汐さん、本当にありがとうございました。
よい夢を見させて頂きました。
なお、賞金はすべてプロテインに変わります。大切なのは筋肉です。
ながいながい創作人生においては、心身の健康のみが資本です(本当に)。
心身ともにマッチョなクリエイターを目指し、wこれからも精進致します。

【審査員コメント】
ハセガワケイスケ
グッドメロディで聴きやすく、ボーカルの選択もいいなーと思います。もうちょいファンキーなギターを入れて聴きたかったなーとは個人的感想。
キャッチーなワードセンスを感じました。ゆえに惜しく感じられたのは、歌詞の一行一行だと「おっ」と思うんですが、全体的になると何処をパンチラインに持ってきたいのか、判りにくいのかもしれません。素晴らしいキャッチーでポップなセンスをさらに進化させてほしいと思います!
あらためて受賞おめでとうございます。
banvox
着眼点が素晴らしい! ファンタジーの世界の"ワイバーン"をテーマに沿った楽曲。ボーカルとトラックの相性も素晴らしいですね。
ワイバーンを現代的にファンタジーにうまく落とし込まれたリリック、面白い! リリックにある"火属性のモンスター"食らいました!
テーマが"ワイバーン"で、暗い作品かと思いきや、POPなサビで構成も素晴らしいと思いました。
そして、映像が一枚絵かと思ったら、ちゃんと後半に向けて動画になっており、作品に対しての熱意を感じました。
本当に素晴らしい。

イラスト部門

部門賞 イラスト部門
『陰陽国技館ゴウリョク』 成之丞
【作品紹介】

日本の国技である「相撲」をイラストでファンタジー化!
ファンタジー世界の日本では国技の陰陽道で競い合う、両国国技館を連想させる舞台で陰陽を駆使した勝負が繰り広げられる!

【受賞者コメント】

此度はイラスト部門賞に選出して頂きまして誠にありがとうございます。
制作にあたり臨場感を大切にと考え、大相撲初場所をTVで何度も観戦し、祭囃子を聴きながら描いたのが思い出です。
本コンテストを知った際、何事も経験との想いで参加させて頂いたので期待以上の結果に未だ実感薄く驚いております。
ⅡⅤクリエイターアワードPJチームの皆様、そして選考委員の先生方へこの場を借りて深く御礼申し上げます。
今回の受賞を励みにさらに精進して多くの方に楽しんでもらえる作品達に携わっていけたらと思います。
とても良い経験となり感謝しております、ありがとうございました。

【審査員コメント】
黒星紅白
この世界のサッカーは?野球はどうなっているんだろうと、描かれていない外の世界にまで想像が膨らんでワクワクします。
土俵から天井、俯瞰で描かれた構図に臨場感がありキャラクターたちの躍動感を引き立てており、見ごたえがあります。
時雨沢恵一
ファンタジー大相撲ってこうなるんだなあと感心しました。
やっぱりNHKで中継されて真面目に実況解説(悪魔に?)されるのかと思うと笑えてきます。でもできれば現地で見たいな。

イラスト部門

部門賞 イラスト部門
『魔女ラーメン』 花城まどか
【作品紹介】

「魔女も働かなければ食っていけません」
現代社会に溶け込む魔女の姿を想像して描いた作品。
「おかもち」を吊り下げ、空飛ぶホウキに乗って運ぶのはみんなが大好きなラーメンです!

【受賞者コメント】

このたびは、「イラスト部門賞」に選んで頂き誠にありがとうございます。
憧れの方々に自分の絵を見ていただけるだけでも嬉しい、という思いで応募いたしましたが賞まで頂戴し、天にも昇る気持ちです。
テーマである「現代世界のファンタジー化」はとても好きなモチーフで描きたい場面やキャラクターが多く迷いながらも最後まで楽しく描けました。
このような賞をいただけて大変嬉しく思います。
この賞を糧に今後も自分らしい絵を描けるように頑張りたいと思います。
ありがとうございました。

【審査員コメント】
黒星紅白
たくさん貼られた注文表、リボンの付いた岡持ち等、小物にドラマ性があり見ていて楽しい。
空でラーメンを食べている気持ちよさが、大胆に切り取られた構図、イラストの流れから伝わってきます。
時雨沢恵一
シンプルながら目を引く構成で、一番インパクトがありました。
魔女がラーメン屋をやっているというのも面白いのですが、"それを自分が食べている"のが私のツボにはまったようです。
オヤジ、じゃなかったお姉さん、一杯くれ。

コミック部門

部門賞 コミック部門賞
『厄神祓屋7のぼせ』 草葉
【作品紹介】

災厄をばらまく「厄」を祓う神通力を神から賜ったという7人の厄祓師「明星」。
「厄」に苦しむ少女たまきは、そんな「明星」に助けてもらうため桃源都市ハカタを訪れる。
だが、出会ったのは街一番のお調子者マツザで……!?

【受賞者コメント】

はじめまして草葉と申します。この度は「コミック部門」を頂きありがとうございます!
自分の漫画作成が久々の中、とにかく楽しんで完成させることを目標に描いていたものなので、まさか賞が頂けるとはいまだに実感がない感じです。
しかし好きなものややりたい表現を詰め込んで楽しみながら描いた作品が、このように評価を頂きとてもとても嬉しく思います。
まだまだ漫画として未熟な部分が沢山ありますが、大きな一歩をきっかけに少しでも楽しい作品を提供できるように今後もますます精進していきたいと思います!

【審査員コメント】
ⅡⅤ編集部
キャラクターデザインとセリフ回しがマッチしており、キャラがイキイキと躍動感を持って動いていています。
様々な表情を描ける画力の高さも感じました。少ないページ数のため、世界観や敵の脅威、ヒロインなど描ききれていない部分も多いので、もっとページ数のある作品を読みたいです。
ⅡⅤ編集部
博多のイメージをモチーフに、祭りや賑やかな雰囲気、食べ物が溢れる桃源郷としていてテーマにあわせた着眼点が面白いと思いました。独自の世界観と短い物語の中でのテンポの良さ、主人公以外にも厄祓師がいるという見せ方で物語に広がりを作っていて、この街を舞台に「今度どういった物語が展開するのだろう?」と続きが気になる構成としていたのも高評価につながりました。一目でキャラクター性が伝わるデザインや、街の雰囲気などもとても魅力的な作品でした。

選考委員奨励賞

小説部門
『陰陽師と妖怪の仲が悪いわけ』 紫藤龍弥
【作品紹介】

妖怪を使い妖怪退治をする九鬼一族の末裔『九鬼峡哉』。
そんな彼の元へ、陰陽師の少女『久遠寺朱里』が現れる。
彼女には妖怪に母親を殺された過去があり、妖怪を強く憎んでいた。
妖怪と共に戦う峡哉と妖怪を憎む朱里。正反対の二人がコンビを組んで凶悪な敵に立ち向かう!

【受賞者コメント】

この度は、選考委員奨励賞という素晴らしい賞をいただき誠にありがとうございます。
選考委員の皆様、「ⅡⅤ」編集部の皆様、並びに賞に携わられた全ての方々に心から感謝いたします。
第2回のテーマは「現代世界のファンタジー化」ということで、私達が住む世界がファンタジー化したらと想像しながら楽しく書かせていただきました。
普段は異世界ファンタジーを書くことが多いので、新鮮な気持ちでストーリーを考えることができました。
今回の結果を励みに、今後更に楽しい作品をお届けできるように精進して参ります。
改めまして、拙作を選考委員奨励賞に選出していただき誠にありがとうございました。

【審査員コメント】
成田良悟
物語の起承転結のみならず、世界全体の設定がしっかりと練り込まれており、主人公から敵キャラクター、サポート役のキャラクター達に至るまで練り込んで作り込まれていて完成度の高い一作だったと思います。主人公の性格が小気味よく、エクソシストの生徒も初見で読者に与えた印象を自分の行為を省みる事で事でを払拭しており、その後のバトルにもきちんと二人の性格が生かされていてとても読み心地が良かったです。
あくまで個人的な意見ですが、コメディシーンでの主人公への理不尽な扱いは上手く書かないと読者のストレスとなる危惧もあるので、そこのバランス調整には今後も常に気を付けた方が良いかもです。
藤原祐
よく言えば王道、悪く言えばありきたりな設定ですが、地力があり前者として非常に楽しく読み進められました。魅力的なキャラの織りなす軽快な掛け合いにもセンスが光っています。
ただ、総じてよくできているだけに、人間関係や物語運びにおける詰めの甘さが気になりました。たとえば飛鳥と凪の主人公への態度がかぶっている、主人公の能力の秘密がラストバトルの後に付け足しのように明かされる……などです。そういった部分も含め、細部まで気を配ってみてください。

選考委員奨励賞

小説部門
『翡翠の姫は夢を見る』 浜矢スバル
【作品紹介】

翡翠の産地・新潟県糸魚川市に建つ、蔵のある旧家。
ここに住む姉妹の祖父は蔵に「宝がある」と言うが、宝がなんなのか姉妹には明かさないまま他界した。
そこで、美貌を備える姉の翠は「祖父の言う宝」が何かを当てた男性と交際することを宣言。
宝を見つけ出す男性は現れるのか?そして蔵に眠る宝とは・・・

【受賞者コメント】

選考委員奨励賞、ありがとうございます。
私の作品は最終候補止まり、受賞は無理と思っていました。
応募者した方の多くは、今回のテーマに素直に従って独自の「世界観」を物語の中で構築する事に注力したのではないでしょうか。
一方、私が書いたのは、このテーマへのアンチテーゼとも言えるような小説です。
実のところ、応募したのは受賞が目的というより、選考委員の方々の反応が見たかったからです。
こういった作品を切り捨てず、新たな賞を増設してまで評価しようとする選考委員の方々の真剣な姿勢に頭が下がる思いがします。
本当に、ありがとうございました。

【審査員コメント】
成田良悟
現実に行われた祭事をオープニングに絡める事で、これが現実の地続きである社会であると明確にした上で、糸魚川周辺で奉られる古事記や風土記に纏わる奴奈川姫の伝承を絡める事で歴史を媒介としたファンタジーと融合させる手腕はお見事です。
一つの家庭を舞台にした話でありつつ、読み手に壮大な幻想を抱かせる一作なのではないでしょうか。その壮大さに比べれば些細な事ではあるのですが、トカゲ男をはじめとする悪意を持った者達への対処が寛大なのは良いのですが、そこで相手に反省の様子なども見られなかったので、後々新たなトラブルの種になるのではという心配を抱く部分はありました。しかし、本当の宝を得た主人公達ならばきっと乗りこえる事ができるでしょう。
三雲岳斗
小説としての完成度が非常に高く、文章力・構成力ともに、今回の最終選考作の中では頭ひとつ抜けていました。豊富な知識に裏打ちされた描写は読み応えがありますし、作中で提示される謎や、最後に明かされる解答も明快で、魅力的なミステリーに仕上がっていると思います。
また、現実に即した設定に神話や伝承などの情報を持ちこむことで、RPG的な定番のファンタジー要素に頼ることなく、「現代世界のファンタジー化」を表現した逆転の発想を、個人的に高く評価しています。

選考委員一覧

【小説】

蒼山サグ、成田良悟、藤原 祐、三雲岳斗

【イラスト】

黒星紅白、時雨沢恵一

【動画・音楽】

ハセガワケイスケ、banvox

「ⅡⅤクリエイターアワード」PJチーム / 「ⅡⅤ」編集部

選考委員総評

蒼山サグ
同一の【お題】で書かれたとは思えないほどバラエティに富んだ作品の数々、心から楽しませて頂きました。

設定の妙、深い考察、キャラ立ちの良さ、短編としてすとんと腑に落ちるカタルシス――。

どの作品もそれぞれの魅力に溢れていたと思います。順番をつけるのもおこがましいと感じてしまうほどでしたが、並びを決めるのが今回与えられた任務なのだと心に責任感の鬼を宿らせ選評させて頂きました。

繰り返しますが、どの作品も本当に面白かったです。
黒星紅白
メッセージ性や遊び心、視点のユニークさ、絵の完成度、込められた想い、世界観、細部までじっくり審査させて頂きました。

素敵で貴重な機会を与えてくれた、すべての皆様にわくわくをありがとうございますと伝えたいです。
時雨沢恵一
私にとって初めてのイラスト選考となりました。今までは小説だったので、やはり勝手が違いますね。

それでも“自分の好みで選ぶ”というところは変わらずに選ばせていただきました。私は作家なので技術のことは分かないので、見たときの印象が最重視ポイントです。現代 × ファンタジーという同じテーマでも、それぞれの切り口があって、楽しめました。
成田良悟
同じテーマを元にしながらも、壮大な神話を読み解く歴史ロマンを絡めたものから軽妙なコメディ、伝奇的ハードアクションや職業ものまでバラエティ豊かな作品が揃った回だと思いました。

『あ、私達の知っている現実だ……』という所から、その足場を保ったまま歴史的幻想を組み込んでいく作品に高評価をつけさせて頂きましたが、他の作品もどれもそれぞれの良さがあり選考は非常に悩みました。この流れで今後も多様性のある作品が集まるコンクールになれば嬉しいなという願いをもって、総評の代わりとさせて頂きます。
ハセガワケイスケ
映像作品、音楽作品、その両方を兼ねた作品など様々な応募ありがとうございました。

非常に楽しく審査させていただきました。音楽だけ、映像だけではなく両方が同じカテゴリーにあったので審査の基準を何処に置くかが大変難しいところでした。

また、10代、もっともっと若いの方の作品に触れたかったところです。

応募作品のすべてにリスペクトをこめて、お疲れさまでした!
banvox
全体的にクオリティが高かったです。音楽を作る自分からのコメントなので、全体的なバランスや構成、音の使い方、ミキシング、マスタリングについて細かくコメントしてしまいましたが、楽しませてくれる作品が沢山ありました。

全部に共通したテーマがなく、様々な人の捉え方によって変わる"現代世界のファンタジー"と言うテーマにすごい可能性を感じました。

自分も参加したかったです。是非、企画に呼んでください(笑)。ありがとうございました。
藤原祐
選考に残った六作品すべてが『現実世界のファンタジー化』という今回のテーマならではの、個性的な面白さを備えていました。文章のレベルも総じて高く、すべての作品において楽しく読み進めることができました。

テーマのせいか、個人の好き嫌いがはっきり分かれる作風のものが多かったように思います。できるだけ客観性をつとめて選評をつけさせていただきましたが、どの作品が一位になってもおかしくありません。

当落の結果にかかわらず、選考に残ったことをひとつの成果として、どうかこれからの創作に活かしてください。
三雲岳斗
ファンタジーは人気のあるジャンルですが、類型的な作品が氾濫しており、独創的で魅力的な設定やアイデアを生み出すのは決して容易ではありません。

そんな中、今回の最終選考作では技巧を凝らした独自性の強い作品や、定番のファンタジー要素にキレのあるアイデアを付与した現代的な作品も多く、楽しく読ませていただきました。

最終選考作全体を通じて好印象だったのは、ほぼすべての作品から、読者を楽しませようという強い意志が感じられたことです。

その姿勢を具体的な形にするためにも、構成力や描写力を更に高めて、さらに素敵な作品をこれからも送り出していただければと思います。